小栗虫太郎、江戸川乱歩。黒岩涙香、夢野久作、大下宇陀児。。。

昔の作家の名前というのは実に凝ったものだ。

だから、作品を読むと肩も凝る。

それはさておき、小栗虫太郎(むしたろう)をず~っとチュータローと読んでいたあたくし。

「本だけ読んで暮らせたら」 に触発されて、あたくしも読んではみたものの、早くも27ページで脱落。
思い出した!この本は何度も何度も挑戦して脱落してますっ!

やっぱりこれ以上はどうにも先に進まない。。。(nanikaさん、ごめん!)


<それが後年になって、ボッカネグロの築城術やヴォーバンの攻城法、また、デイやクロウサアの魔鏡術やカリオストロの煉金術、それに、ボッチゲルの磁器製造法からホーヘンハイムやグラハムの治療医学にまで素因をなしていると云われるのだから、驚くべきじゃないか。>

全文、こんな調子。(汗)
こういうのを衒学趣味というんですってね。((((;゚Д゚)))ゲンゲンガクガクガクブルブルブル

そもそも、「衒う」という意味は、ひけらかす、見せびらかす、自慢するという意味があって、衒学趣味とは、学識や才能をひけらかしたり、実際以上によく見せようとすることざます。
ぺダンチックとも言うんざますの。
(*^. ^*)オホホホ!あたくしってなんて物識りなんざましょ♪(実は辞書の引き写し)

こういう嫌な奴の事をペダンチック趣味という。


でもねえ、太平洋戦争以前の日本の作家は、ほとんど衒学趣味があったと思うんです。
そもそも大学生というだけで、神様扱いされていた時代。

夏目漱石や森鴎外などは、帝大卒に加えて海外留学にも行きましたから、周りも崇めるし、そのプライドと自負たるや凄まじかった。(たとえ海外でノイローゼになろうとも。。。)

現在でもたまにあるけれど、戦前の作家の作品には、無意味な英単語がよく出てくる。
文中で必要かつ重要な単語でもないし、一般的によく使われる象徴的な英単語でもない。アルファベット表記もあれば、不思議な発音のカタカナもある。(笑)

何の脈絡もないこれらの英語(またはドイツ語やフランス語)はいったい何の為なのか、誰の為なのか、ずっと不思議に思っていたけれど、こういうのを衒学趣味って言うのざますわね!(笑)

だいたい義務教育に英語がなかった時代に、これら外国語交じりの文章を読んで、辞書も引かずに意味がわかる人間が当時の日本にいったい何人いたというのだろう。単語を理解したところで、何の意味があるのだろう。

衒学趣味とは、恥ずかしくて、哀しくて、貧しい趣味なのだと、昔の文豪たちは教えてくれたのでした。






黒死館殺人事件 (ハヤカワ・ミステリ 240)
小栗 虫太郎
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